ゆったりとしたシルエットと、締め付けのない心地よい開放感が魅力の「トランクス」。
昭和から平成、そして現代に至るまで、幅広い年代の男性に履き続けられてきた定番のアンダーウェアです。
「トランクスはいつ、どのようにして生まれたのか?」
「なぜ一時期、男性用下着の代名詞と呼ばれるほど流行したのか?」
「ボクサーパンツやブリーフと比べて、どのようなメリット・デメリットがあるのか?」
普段何気なく履いているトランクスですが、その誕生にはボクシングのリングでの機能追求があり、時代のファッション文化とともに大きな変遷を辿ってきました。
本記事では、1920年代のトランクス誕生の歴史から、1980年代の黄金期、ボクサーパンツやブリーフとの機能面での違い、そして現代において「通気性」や「心地よい履き心地」を高めた最新の高機能素材(テンセル™ TENCEL™など)による進化に至るまで、トランクスの歴史と最新事情を詳しく解説します。
1. 黎明期:トランクス誕生以前の男性用下着
トランクスが誕生する前、男性はどのような下着を履いていたのでしょうか。まずはその歴史的背景を振り返ります。
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古代から近世:腰布とドロワーズの時代
古代の人間は、布や革を腰に巻き付ける「腰布(ロインクロス)」や「ふんどし」を身につけていました。近世ヨーロッパでは、麻や綿で作られた膝丈ほどのゆったりとしたステテコ状の長下着(ドロワーズ)が普及しました。
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19世紀後半〜20世紀初頭:つなぎ型下着「ユニオンスーツ」
19世紀後半になると、西洋では上半身と下半身が一体となったつなぎタイプの下着「ユニオンスーツ」や、長袖・長ズボン型の厚手インナーが日常着として使われていました。これらは防寒性には優れていたものの、重ね着をすると生地がたわみ、股間まわりに熱や汗がこもりやすいという課題がありました。
当時の下着は「防寒」が第一目的であり、「通気性を保ち、軽快に履く」という概念はまだ十分には確立されていませんでした。

2. 1920年代:ボクシングリングで生まれたトランクスのルーツ
現代のトランクスの直接的なルーツは、1920年代のアメリカのスポーツ界にあります。
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革ベルトから「ウエストゴムショーツ」への革命
1925年、ボクシング用品の開発者ジャコブ・ゴロム(Jacob Golomb)は、ボクサーが試合時に履くパンツの改良に取り組みました。当時のボクサーは、固いレザーベルトで固定するパンツを履いてリングに上がっていましたが、腰まわりの可動域が制限され、試合中の動きを妨げるという大きな問題を抱えていました。
そこでゴロムは、ウエスト部分に柔軟で伸び縮みする「ゴムバンド」を採用した、軽快で動きやすいボクシングショーツを開発しました。これが「トランクス(ボクサーショーツ)」の誕生の瞬間でした。
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軍用衣料から日常の下着へ
リング上でボクサーたちが履いていたこのショーツは、脚の可動域が広く通気性に優れていました。第二次世界大戦期に米軍の夏季用兵士下着として大量採用されたことをきっかけに、戦後、一般男性の日常的な下着として世界中へ急速に広まっていきました。
3. 1980年代:トランクス黄金期とファッション革命
1930年代に登場した「ブリーフ」が長らく男性下着のシェアを独占していた中、1980年代に入るとトランクスが逆転の爆発的ブームを巻き起こします。
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ブリーフからの転換と開放感の追求
1980年代、若者の間で「白ブリーフ=子供っぽい」という意識が広がり始めました。同時に、身体を締め付けない自然体な履き心地と、風通しの良い「通気性」を求める男性が増えたことから、布帛(フハク)生地で作られたゆったりとしたトランクスが注目を浴びるようになります。
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メディアとカルチャーによる後押し
1980年代半ば、海外の有名なジーンズCMにおいて、主人公がコインランドリーでジーンズを脱ぎ、白いトランクス姿になる演出が話題を呼びました。この映像によって「トランクス=スタイリッシュで大人な男性の下着」というイメージが定着し、男性下着市場におけるトランクスの黄金時代が到来しました。

4. トランクスと他スタイル(ブリーフ・ボクサーパンツ)の機能比較
1990年代以降、ホールド感と脚丈の長さを兼ね備えた「ボクサーパンツ」が登場したことで、下着の選択肢はさらに広がりました。各スタイルの特徴を機能面から比較してみましょう。
| スタイル | ホールド感 | 通気性・開放感 | 衣服への干渉 | 特徴 |
| トランクス | 低い(自由度高) | 極めて高い(風が通る) | 生地が重なる場合あり | 締め付けがなく高い通気性。ゆったりとした快適な履き心地。 |
| ブリーフ | 最高 | 構造上熱がこもりやすい | なし | 股間をしっかり固定。太もも周りの可動性が高い。 |
| ボクサーパンツ | 高い | 素材・構造による | 少ない | 現代の主流。適度なホールド感とスタイリッシュさを両立。 |
トランクス最大の強みは、「締め付け感の少なさ」と「風が通る圧倒的な開放感・通気性」にあります。リラックスタイムや就寝時の下着として、現在でも非常に高い人気を誇っています。
5. 被服衛生学から見るトランクスの課題と「立体構造」の重要性
高い通気性を誇るトランクスですが、被服衛生学や人間工学の視点からは、いくつかの注意点も指摘されています。
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重力による下垂と血行への影響
トランクスには股間を支えるサポート構造がほとんどありません。そのため、陰嚢が重力によって下に伸び切った状態が長く続くと、内部の細い血管が引っ張られて血行不良を引き起こす可能性があります。睾丸の健康維持には、適切な血流が欠かせません。
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皮膚同士の擦れ(股擦れ)
支えがない状態のトランクスでは、歩行時に陰嚢と太もも内側が直接擦れ合います。汗をかいた状態で摩擦が起きると、角質層が傷つき、「股擦れ」や赤み・かゆみといった皮膚トラブルの原因となります。
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ズボンの下での生地のモタつき
ゆとりのあるトランクスは、細身のスラックスやジーンズを履いた際に生地が折れ曲がって重なり、局所的に熱や湿気がこもってしまうケースがあります。
そのため現代では、「トランクスの通気性の良さ」と「適切な位置で固定するホールド力」をいかに融合させるかが、下着設計における重要なテーマとなっています。

6. 現代アンダーウェアの素材革命:テンセル™ TENCEL™繊維の進化
トランクスの歴史的進化において、近年最も大きなイノベーションをもたらしたのが「素材(繊維)」の進歩です。
従来のトランクスに使われていた綿(コットン)は、肌触りが良い反面、汗を吸うと乾きにくく重くなるという欠点がありました。また合成繊維(ポリエステル)は速乾性があるものの、吸湿性が低くベタつきやすいという問題がありました。
こうした課題を解決したのが、持続可能な再生セルロース繊維「テンセル™ TENCEL™」です。
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圧倒的な吸放湿性で「蒸れない環境」を作る
木材パルプを原料とするテンセル™ TENCEL™繊維は、ナノレベルの微細な繊維構造(ナノフィブリル)を有しています。化学繊維や天然素材を大幅に上回る水分吸収・放出能力(吸放湿性)を持ち、肌から発生する汗や水蒸気を素早く吸い上げて外気に逃がします。
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シルクのような滑らかさと肌への優しさ
表面が極めて滑らかであるため、歩行時の摩擦による肌への刺激を軽減します。テンセル™ TENCEL™繊維を用いた生地は、一年中サラサラとした快適な履き心地を提供してくれます。
現代の先進的なアンダーウェアブランドでは、こうしたテンセル™ TENCEL™繊維の優れた吸放湿性と、身体を優しく包み込む「立体成型構造」を融合させることで、トランクス並みの通気性とボクサーパンツの快適なホールド感を兼ね備えた最新世代の下着が開発されています。
日本のブランドであるシューバン™ SHEVAN™においても、テンセル™ TENCEL™繊維の持つ素材性能と人体工学に基づく立体設計を追求し、男性の股間環境を最適に保つ高機能なボクサーパンツの提案を行っています。
7. まとめ:100年の歴史を知り、自分に合った最高のパンツを選ぼう
1920年代にボクサーがリングで履いた一着のパンツから始まったトランクスの歴史は、以下のように進化してきました。
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1920年代:ボクシング用ショーツとしての誕生(ウエストゴムによる動きやすさの確保)
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1940〜50年代:軍用から一般男性の日常着へ普及
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1980年代:ブリーフからの転換と、開放的なトランクスブームの到来
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現代:ボクサーパンツとの住み分け、テンセル™ TENCEL™等による「通気性・蒸れ対策・立体構造」を備えた高機能時代へ
下着は、時代ごとのライフスタイルや科学技術の進化とともに常に変化を続けています。
通気性や開放感を最優先したい時はトランクス、適度なホールド感と衣服のフィット感を重視したい時はテンセル™ TENCEL™素材の立体成型ボクサーパンツを選ぶなど、自身の活動シーンや快適さに合わせて最適な一着を選んでみてください。100年以上の歴史が紡いだアンダーウェアの進化を感じながら、毎日を爽やかで快適に過ごしましょう。
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【参考資料・論文・学術データベース一覧】
CiNii Research(国立情報学研究所:被服運動学・服装史に関する論文データベース)
https://cip.nii.ac.jp/J-STAGE(科学技術情報発信・流通システム:被服衛生学・各種繊維の通気性と吸放湿性研究)
https://www.jstage.jst.go.jp/国立国会図書館デジタルコレクション(近代日本の被服史・衛生史資料)
https://dl.ndl.go.jp/PubMed(米国国立医学図書館:衣類の微気候・皮膚熱散逸に関する論文データベース)
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/




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